本棚の星座
天井に突っ張るタイプの本棚が左斜めに傾いてきてしまっていた。しばらくの間、「いやいや、本が斜めに並んでいるだけだ」と生来の怠け者ぶりを発揮する。しかし、最近の地震の多さを思い出し、重い腰を上げ、本棚をよく観察してみる…。どうやら突っ張りが片側だけどうも緩くなっていて、本棚は本当に傾いている。本棚に並べていた本を一度すべて床へ移動させた。ヒヤヒヤしていた本棚も本もこれでホッと胸を撫で下ろしてくれたと思う。
本棚の傾きを調整しボルトを閉め、緩んでいるところがないか確認。本棚はOK。完璧に元通り。次は床に避難させ高く積み上がった本たち。冊数もかなりある。ジャンルも小説、詩集、新書、技術書、ビジネス書、雑誌など、サイズもバラバラ。「いやいや、引越しするしこのままにしよう」と生来の怠け者ぶりを再び発揮する。しかし、引っ越しの予定はない。全くない。いや、むしろ数日経ってさらに新しい本が増えている。床に積み上がっていた本がさらに高くなっている。新天地に希望と不安を抱いて連れてこられた新入りの本たちも、こんな有様で胸騒ぎがしてるに違いない。
そんな本の山には目もくれず買ったばかりの『さみしい夜のページをめくれ』という本を読み始める(怠け者の本領発揮)。その本の終盤には本棚は自分の鏡だと書かれている。ということは、恐ろしいことに私の本棚には怠け者が写っているということになる…。しかし本棚について、私には自分で考えた、もっとしっくりくる例えを持っている。本棚は「星座」だ。生来のロマンチストぶりを発揮した例えで、個人的にとても気に入っている(キメ顔)。星座が星を線で繋いで動物や神話などを意味するように、私から見た本棚の中の本の位置関係は、一見他人から見たら結びつきがわからない並びでも、自分から見ると何らか意味のある並びをしている。また、時が経てば本の位置関係の見え方、見える星座も変わってくる。例えばあるシステム設計に関する本の近くにある現代思想の本が置かれ、さらにある小説が置かれる、といった具合だ。
とはいえ、今もその星座を元に戻せていない(怠け者、継続中)。本棚は星座だ、とすると私は星図を書けずに迷い迷っていることになる…。遭難している。完全に迷子だ。くそ、自分の星から出てしまった『スケルトン・クルー』(STAR WARS)の子供たちみたいじゃないか。しかも奴ら、自分たちの星に帰るために頑張ってたな…。それに比べて私は…。とりあえず、自分にとって大きな意味を持つ本を置こう、と積み上がった本の中から探す。が、積み上がった本から探すのが大変そうなのでひとまず休憩である。